兄との同居生活は続いていた。
前の投稿でも少し書いたが、兄は変わり者ではある。真面目に勉強して、真面目に生活しているのだが、面白おかしく人を脅かしたり、楽しんだりする癖がある。ある日の夜のことである、「おい、”Dio”!この前貰った酒で珍しいのあるから一度飲んでみないか?」「冷凍庫にあるから、ちょっと取って。」
・・・
「”冷凍庫”??」
冷凍庫を開けてみた。確かに酒らしき瓶が入っている。凍らして何をしたいんだろうと思っていたが、中身は凍ってない。「入れたばっかだったのか・・・」持って帰って来ると、机の上にはショットグラスがあった。「まぁ、ついでみてよ。」
トクトクとついでみると、なんとも言えないトロトロ・滑らかな感じで注がれる。。兄はニヤニヤ笑っていた。「珍しいだろ。クイッっといけよ。」
例のごとく、酒にあまり抵抗のない僕はクイッといった。
口にした時の滑らかさは一瞬で吹き飛び、舌がピリピリする。のどが焼ける。。。「なんだこれは??!」、そう、皆も経験があると思うが、高度数のアルコールは凍らない、つまりウォッカの原液だったかと思う。(正確な度数は忘れた。)
酒自体は瞬時にアルコールが吹き飛んでいく。吹き飛ぶ感覚(ピリピリ感)を舌・喉・食道に伝えながら胃に到達する。もちろん、美味いという感覚はないが、トロトロ(視覚効果)からのピリピリ(味覚)への衝撃(人生での新たな刺激)による脳への刺激は確実にあったのだと思う。その時、脳は確実に記憶したと思う。
無論、その日は「もういらねーわ。」ということで、いつものごとくチューハイに切り替えた。兄は笑っていた。
実は、この兄というのは、お酒が弱い。根が真面目(っというより、それ以上に興味のあることに奔走している)なので、依存症に落ちいることもなければ、適度に飲んでいるのだと思う。今もたまに一緒に飲むことはあるが、とにかく僕に酒を進めては、笑っている。でも、おおよそ2時間程度で飽きて先に寝る(or帰る)というパターンである。
僕のこの現状に少しぐらい責任を感じてもらいたいものだ。。。
いや、誰かの要因というより、自身の問題なのだとわかっている。だからこそ、回想しながら自身を振り返っているわけである。
一つ一つ紐解いて行こう。今日は、”新感覚による脳への記憶”の物語である。これも、後々の依存への序章だったのだろう。
では、アディオス。